2011年01月27日

SUCKER BOMBACLAAT VOL. 1.5 - WE WILL STILL BE HERE, FOREVER

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 SoccerBoyのMixCDシリーズ最新作“Sucker Bombaclaat vol.1.5”がリリースされてから約一ヶ月が経過した。まず本題に触れる前に、以前彼がLEF!!!のポッドキャスト用に提供したMix“Some things you wanted to know about me: but were afraid to ask Hip-hop (あなたがわたしについて知りたいと思いながらあえてヒップホップに尋ねようとは思わなかったこと)”【DL及び本人による解説はコチラで】を振り返ることにしよう。

 もとを正せば『DJ / ラップ / ブレイクダンス / グラフティー』を総称する文化として後世に継がれる財産となった「ヒップホップ」だが、クラシックな大ネタから重箱の隅をつつく小ネタ等がサンプリングされた、所謂BPM100前後のビートにラップが乗る様なジャンルとしてのヒップホップではなく、彼が考えるその根源の醍醐味「斬新且つ柔軟な視点で再発見・再生産する」 ⇒ 「SoccerBoyによるヒップホップ(の新解釈及び新定義)」ということを、この半年以上ずっと模索していたのだろう。その新解釈したヒップホップを題材に、敢えてリスニング用としてフロアでは鳴らすことの無かった楽曲等も積極的に取り入れたSoccerBoyのスピンオフ、言わば重要エピソードとしても受け取れる「ヒップホップ(解釈)によるSoccerBoy(の音楽遍歴)」であり、現在の彼を構成する重要要素のヒントが沢山詰め込まれている作品だった。

 さて、話を本題に戻そう。結論から言うと、本作で現在進行形の「SoccerBoyによるヒップホップ」が確立されたと言っても過言ではないだろう。先述のMixと比べれば格段にストレートなメッセージ性が秘められていると思う。いつもの大ネタ、痛快なTK450音源等が目紛しく展開する中、既にJET SET大先生が解説している通り「細か過ぎて伝わらないヒップホップ」がアイロニーに随所へ散りばめられた、回りくどいヒップホップ愛に溢れる作品だ。いつものボリュームはそのままに、しかし以前に比べ連想ゲームをする中でのグルーヴ感が強化され楽曲の旨味も引っ張る様子が伺えつつ、初期作品に見られたマッシュアップ感も見事に進化を遂げながら復活している。

 今でもしつこくデッキの中を回り続けているわけだが、個人的に彼のMix史上最もドライブに合う内容なのだ。それは特に終盤「もしもSoccerBoyがクラスヌに出たならば〜」的なクライマックスで威力を発揮する。佐藤Dの煽りV並に何度も涙腺を煽ったC___oからK____iまでの流れ。“Raindrops”が流れる度に思い出す、小布施で見渡す一面に広がっていたリンゴ園。間違えたルートも楽しい遠回りドライブに変えてくれた“Rocks”。車から降りる際、ドアのスピーカーから漏れた“殺______ス”を聞いた知らない作業着姿の、どう見ても僕より戦闘力が高そうな兄ちゃんが笑顔でこちらを見ながら頭を振った気がしてみたり等、今後も暫く僕の人生の側で記憶を共有して行くサウンドトラックになりそうな一枚だ。PANTERAの“俗悪”以降、最もインファイト且つ奸悪なジャケットも高く評価したい。

 何よりSoccerBoy最大の魅力とは、モ____娘。をエレクトロ解釈したり、スカ解釈したりする柔軟な耳と斬新な発想力なんじゃないのかな。それらを養った最大の要因がNYCや2 Many DJs以前に、ヒップホップそのものだったということにようやく気が付いた。「あなたがわたしについて知りたいと思いながらあえてヒップホップに尋ねようとは思わなかったこと」という邦題を見るまで、それを気に掛けなかった自分が実は凄く悔しかったのは秘密。


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トラックリストやお買い求め等、以下気の置けないレコ屋さんでどうぞ。

“何かけたっていいんだよ” - テクニーク
“驚異の縦横無尽セレクト、なのに、だから…” - JET SET?
“非常に楽しい内容となっております!” - TICRO MARKET
“今回もどこにも利益のでない” - FLAKE RECORDS
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2010年05月01日

Kan Takahiko - New Release

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先日のPrahaイケメンMixCDリリースパーティー来県では、ウォブル甘党の名に恥じない選曲且つDJプレイにより、ダンスフロアと路地裏ギャル達の生意気な突起物を揺らし続けたKan Takahiko。

当blogでは、そんなKan TakahikoとSoccerBoy(によく似た人達)がチームアップしたブートユニットである、TK450(タカシコ)としての活動の方がお馴染みかもれませんが、ソロ名義Kan Takahikoとしても、これまでに変幻自在なスタイルで数々のオリジナルトラックや、原曲を喰う勢いで他アーティストへのRemixを提供し世に送り出しており、各地から「もはや世界レベル」だとか「安打製造機」との呼び声も高く、今まさにブレイク前夜と言える状況に身を置かれた存在なのです。

過去にRiow Arai氏と活動を共にしていた頃には、エクスペリメンタルなロービートを打ち出し、近年ではUKアーヴァン最新モードや世界各国のご当地ダンス等を吸収しながらも、そこで単なるフォロワーとして留まらず、多岐に渡る音楽ルーツの断片が落とし込まれていたり、常に+αのエレメンツが加えられ、更新を重ねる姿勢が非常に魅力的なトラックメイカーなのです。TK450名義でのClashのRMXや“Cerveza”辺りから、ぼんやりとテクノへの接近というか回帰を予感することも出来ましたが、この度ニューリリースとなる“Fragment / Better Way”で、いよいよそれが浮き彫りとなりました。

自身のTwitter上で「少しピッチを下げれば、今でもBen SimsとかOliver Hoとか全然アリなんで、そこら変と横並びでいける路線もちょいちょい突いて行こうかな」と語っていたのですが、それを前提とし歴代ハードミニマル横綱達とも肩を並べるべく制作されたかのような“Better Way”、そして特筆すべき“Fragment”なのですが、パーカッシブな高速ハードテクノビートに、ハードダンス調のハイトーン・チャンネーボーカルとシンセリフ等が絡むという、ダブステップ勢によるテクノへの急接近よりも更に先を見込むアプローチを提案しているところも非常に興味深いです。因みにTK450名義でのT-RexのRMXにおいてもKanさんのハードダンス愛を垣間見ることが出来るのですが、“Fragment”共々、是非そちら方面のDJにもチェックして頂きたいところ。


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->BEATPORT


また、今回のNew EPに先駆け自身二枚目となるMixCD“Fierce Beauty Club”もリリースされていますが、こちらに関してもやはり個人的ハイライトが“Kan Takahiko→Eric Sneo→KU BO”というくだりで、僕も実際過去にKU BOのバックタイトルとCave系の太鼓打ちハードミニマル等を混ぜ、ドヤ顔を晒していた時期もあったりしたもので、これには共感せざるを得ませんでした。UKファンキー、R&B、ダブステップ、フラッシュダンスからハードテクノに至るまで、適度のチャラさと高い強度を兼ね備えた面白いMixに仕上がっておりますので、妻をもう一度口説きたいお父さんからハスラーまで自信を持ってお勧め致します。


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1. Doman & Gooding / Runnin Feat.Dru & Lincoln (South Rakkas Crew Mix)
2. Flo Rida / Gotta Get It (Dancer)
3. Shakedown / At Night
4. Kerri Chandler / Bar A Thym (Tom Middleton Mix)
5. Trevor Loveys / U Know It (Solid Groove Mix)
6. Baobinga & ID / Tongue Riddim
7. Dee & Perempay / DJ Play Feat.Shola Ama (Perempay & Dee Funky Mix)
8. Baqua / When I Look Back (Simbad Mix)
9. Drop The Lime / Set Me Free Feat.Carrie Wilds (Lil Silva Remix)
10. Friendly Fires / On Board (Joakim Remix)
11. The Clash / Should I stay or Should I go (TK450)
12. Sebastien Leger / The Rhythm
13. The Amadeus / Padaria (Kan Takahiko Remix)
14. Cassius / Youth Speed Trouble Cigarettes (Reset! Remix)
15. P-Money / Love Alone Feat.Vince Harder
16. DJ X-Change / Number One
17. Simian Mobile Disco / Cruel Intentions (Joker Remix)
18. Headhunter / Prototype (Modeselektor Remix)
19. DJ Zinc / Killa Sound (Skream Remix)
20. Irene Cara / What a Feeling (TK450)
21. Kan Takahiko / Fragment
22. Eric Sneo / Sugar Baby (DJ Preach Remix)
23. KU BO / Sumanita (Daniel Haaksman Remix)
24. The Shoes / People Movin (Siriusmo Remix)
25. Zoe & Htwoo / Pink Love (T2 Remix)
26. Attacca Pesante / Make It Funky For Me (Shy FX & Benny Page Remix)
27. Speech Debelle / Spinnin' Feat.Camelot (Jammer Remix)


->GAN-BAN

->JETSET

->TECHNIQUE
posted by Tarantula at 04:36| Comment(3) | TrackBack(0) | Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月07日

ボールが友達の奴は大体友達。


Matisyahu - One Day (Official Music Video) - Amazing videos are here

バンクーバーオリンピックのアメリカ合衆国放送公式テーマソングとして使用された
Matisyahu(マティスヤフ)の“One Day”という楽曲のRemixコンテストに
ゴールネットをも突き破るドライブシュートでお馴染み、我等がSoccerBoyがエントリーし
こちらの音源が現在フリーダウンロード中です。

http://blog.dropsnap.jp/SoccerBoy/2010/02/10.html


…Matisyahuって?

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ブルックリン拠点の新世代レゲエ・シングジェイ〜ヒューマン・ビートボクサー。超正統派ユダヤ教ハシディズムの規律により顔に刃物を当ててはならないため、ヒゲもじゃ。また安息日、すなわち毎週金曜日の日没より、土曜日の日没後夜空に星が3つ以上輝くまでは“労働”してはならないため、ライヴを行わないし、車の運転や電気など文明の利器を自ら使用することはできない。また、奥さん以外の女性が彼に触れることや、露出度の高い服も遠慮しなければならない。
___


簡単に言えば“One Day”とは、いわゆる反戦ソングではありますが
ミサイルやライフル等に対し目くじらを立て、拳を天高く突き上げながら
半ば喧嘩腰に「No!War!!」と叫ぶアレではなく
あくまでも自由と平和を祈り、明日への希望に満ちた今日一日を大切に生きるということを
素晴らしくポジティブに書かれたリリックなのです。
いや、まぁ僕はこれら全て今掘って知ったことなのですが。

これまで特にTK450名義時は、原曲マナーを覆すテイストが特徴的だったSoccerBoyが
フィジェット以降のベースミュージックに再構築しながらも
原曲の質感を損なわず仕上げたのが凄く興味深かったんです。
彼は音楽以外にも自分が興味がある物事に対し、とてつもなく掘り下げるタイプなのですが
きっと、そんな性格あっての結果なのかなぁと思っています。

とにかく、理屈抜きにトラックメイカーの彼として現時点最高傑作と言える完成度。
3.13、恐らく本人によってプレイされるであろうその瞬間
至福のストリングスによって泣きべそ多発警報発令であります!
上越遠いからなぁ…の方も最初から興味無い方も是非ご賞味あれ。

あ、それと当日PASマガジンのCLUBレポート取材が決定したので
ビンテージ、パチモン、大ネタ、下ネタ等など
皆さん是非こだわりのTシャツを着用の上お越し下さい。

そして、届いたアンサー・フロム・本命エレクトロなめ猫

決戦はいよいよ一週間後!

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俺の屍を超えて行け!!!
posted by Tarantula at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月06日

SoccerBoy - My Dear Horse

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6月の長野で念願の初共演を果たした日、このオフィシャルMixCDリリースが
決定したことを、SoccerBoy君から初めて聞いた時に、
彼の名を、より多くの人に知って貰う良い機会と思いながらも
正直言って、HMVが彼に一体何を期待しているのか理解に苦しんだ。

一昔前の、Chems、Underworld、Prodigyといった、いわゆる御三家が
ワンセットで世間から脚光を浴びていた時代、Loud編集長である
TOMO HIRATA氏が国内のリスナーへ向け、ハイプで分かり易い煽りの一環として
先立って提唱した『デジタル・ロック』と同様のニュアンスなのか
SoccerBoy君も、いわゆる『東京エレクトロ』一派の一員として
肩を並べるようにHMVで紹介されているわけだが
僕にとって彼はその中でも、極めてハミ出した存在である。
一般層には、まだそこまで認識されず、御三家に加わり四天王として
扱われることは無かった、大ブレイク前夜のFatboy Slimのような立ち位置にも思える。
しかし、その東京エレクトロの中で、ポップスやメジャーソングを
あそこまで格好良くハッピーにプレイするDJは、彼以外にまだ出会っていない。

また、Kan Takahikoさんとチームアップした、イリーガル中のイリーガルな
RemixプロジェクトであるTK450名義では、それら大ネタの数々が
善意と悪意の狭間で揺られながら、日本人視点のネタ選びと
進行形のゲットー及び、ベースミュージック的手法によってリフォームされ
全国何処かのレコ屋で、ひっそりと販売されている。既に完売しているが。

要は今回のオフィシャルMixCD制作に当たり、SoccerBoy君のDJスタイルにおいての
重要ファクターが『ライセンス』の縛りにより、殆ど剥奪されてしまうということだ。

「身の程知らずにメジャー曲を求める」と本人も自覚している通り
当然のように楽曲のライセンス獲得は難航を極めたそうだ。
結果、トラックリストを参照してもらえば、これまでにリリースされた
Sucker Bombaclaatシリーズに比べ、格段にトラックリストが
見劣りするのは一目瞭然。しかし、そこで何をすべきか、
与えられた条件で何が出来るかを、この男はひたすら探求し続けた。
それにより、これまでのMixではあまり聞くことの出来なかった
Edit感、ライヴ感、グルーヴ感、そしてクールでストイックな表情を見せることに成功している。
『挑む』という意味では、勝負のポイントをずらし賛否が大きく分かれた
超問題作“Sucker Bombaclaat 1.3”以上のインパクトを僕は受けた。

そして、僕が今作で一番のポイントだと思うのが、SoccerBoy君や
Kan Takahikoさんらのオリジナルトラック及び、TK450以外の『Not大ネタ』な
Remixワークが、世界各国の名立たるトラックメイカー達と肩を並べ
全く聞き劣りしない存在感を放っているところである。
その日本人としての誇りが、むしろMix中で重要な役割を果たし
一つのハイライトとしても機能している。
その象徴であるSegment 3で使われている、Kan Takahikoさんの
“Dolphin”と“Miss Vanessa”の完成度には心底感動したし
なんだか、満身創痍でリングへと入場する桜庭和志の姿と
今作に挑むSoccerBoy君の勇ましい姿のイメージが、
ピアノの旋律に揺られながら脳内でリンクし、心が震えてしまった。

この他、Segmenbt 4で使われている、SoccerBoy君による
M.G.Knight RidersのRemixと、未発表オリジナルトラック
“Of Breaks And Men”では、TK450時には決して聞くことの出来なかった
ストレート且つ、ハイクオリティなクドゥロサウンドを展開している。
この他、その雄姿はSegment 5でも、また違うアプローチで遺憾なく発揮されている。

また、Segment 4〜5の繋ぎでは、その両氏の結束がSinden&Herveという
ドリフでいうところのバカ兄弟をアクセント程度に挟み、素晴らしく感動的な
タスキリレーを見せている。日本発、Nextバカ兄弟からの完璧な返答である。
そこから火蓋が切って落とされる、Segment 5の日英バカ兄弟ベース戦争にも、是非注目して頂きたい。

SoccerBoy君本人は、ライセンス面でよほどの好条件を満たさない限り
「もうやりたくない」と公言しているが、僕からしてみれば
これまでリリースされた彼の作品の中で、最も感銘を受けたのは言うまでもないし
与えられた厳しい条件の下、ここまで自身の魅力を引き出し
無事完成してくれたことを、オタギリ・フーリガンとして大変喜ばしく思う。
だから、せめて「やって良かった」と思ってほしい。

最後に、もう一つ言っておきたいことがある。
それは、こういったSoccerBoy君のMixCDにおいて確認できる
選曲やプレイスタイルの魅力の他、現場ではまた更に衝撃的な姿を目撃できるということだ。
Dub Master X氏までもが大絶賛した、あの欲張りなTractorの2ch接続ありきな
終始手を休めないフェーダーアクションとイコライジングにより、身体で感じることが出来る『ウネリ』。
僕は長野でその全貌を初めて体感した日、テクノシーンで神格化されている
某外国人DJの面影を見るような感覚に陥った。
単に8や16拍目のビートが抜けるタイミングではなく、普通に音が鳴る奇数拍でも
グルーヴを乱さずカットイン/アウトするあの感じ。ちなみに、その欲張りなカットイン/アウトも
Segment 3の“Dominator”使い等で確認することが出来る。

温厚なLoud読者からお叱りを受けるかもしれないし、僕のブログが炎上しても困るので
敢えてその神DJの名は伏せるが、先日それについてSoccerBoy君に問い詰めると
やはり手数の多い彼のルーツが見事それに一致した。
ぼんやりとそれに気付いた僕も、我ながらちょっと凄いと思うが
これについての補足は、また機会があれば語るなり
彼自身のブログで外人を引用しながら語り、遠くから石を投げてもらうことにしようじゃないか。

ヴァイナルDJの中では、PCDJに対し否定的な意見も多く見られるが
そのPCDJで何が出来るか、浮いたピッチ合わせの時間で何をすべきか。
この男は、いつもそんなことばかりを考え提案している、立派な『人力DJ』なのだ。
posted by Tarantula at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月04日

THE BEACHES - HI HEEL

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The Beaches待望の3rdアルバム“Hi Heel”が、いよいよ明日正式リリースとなりますが
JETSETでは、ヒサシさんの独占MixCD付きで既に本日からフライング販売中です。

>> 購入ページへ

「マジで最高だけど、売れないだろうなー」とは片平実さんの弁。

“Hi Heel”というアルバムタイトルに隠させた「ヒール(悪役)」という裏メッセージ。
今作では、Beachesのダーティーサイドが前面に打ち出されています。
いわば夏の風物詩ともいえる、トロピカルなBeachesサウンドを望むファンにとっては
八割方、期待を裏切られるような内容なのではないかという印象です。

また今作では、クドゥロ、クンビア、ボリウッド等といった世界中の辺境音楽のエレメンツが
随所に散りばめられているのですが、特筆すべきはそこで単なるフォロワーになるのではなく
あくまでもそれを『成分』の一つとして消化し、ハイブリッドで唯一無二な
Beachesサウンドとして吐き出しているところが、実に素晴らしいと思う。
それに今時シーケンサー等を全く使わず、徹底的に“生”演奏に
拘っているとことろもBeachesの魅力の一つである。

Buraka Som Sistemaの1stアルバムがリリースされて間もなかった今年1月に
DJとして上越にいらしていたヒサシさんとお話した際、
「クドゥロは、今後Beachesの楽曲にも取り入れたい」とおっしゃられていましたが
今作二曲目に収録されている“ミダラ”で、早速それを最高の形で具現化していることに驚愕しました。
五曲目“エーゲ”では、近年のUKベース・ミュージックの特徴の一つともいえる
歪んだシンセベースも大胆に取り入れられています。
更に六曲目“ハルカ”では、サイモン&ガーファンクルがアルゼンチンの
クンビア・ヴィレーラと出会うや否や、コンドルに襲われる悲劇を物語るようにも聞こえてみたり。

さて、そんなヒールでダーティーサイド剥き出しなアルバムの中でも
昨年夏にリリースされた常夏アンセム“ポリス&ガールズ&ボーイズ”では
単にそのままアルバムに収録するわけではなく、ちょっとした粋な仕込みが
施されているわけですが、これについては実際みなさんも聞くまでのお楽しみということで。
その後、結局はトロピカルなファンへも、優しく手を差し伸べてくれる
ヒーローとしてフィナーレを迎えてくれます。
詰まる所、飴と鞭、というか鞭と飴のようなアルバム。

ただ、リスナーとしての正直な気持ちを言えば、このアルバム全十曲というボリュームは
少々物足りない気がしないでもないのですが、同じ気持ちを抱く方は
Beachesのライヴへ遊びに、そして踊りに行けば良いと思います。
何故って、Beachesは最高にダンサンブルなフロア全員参加型ライヴバンドなのだから!
posted by Tarantula at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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